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ビギナーから中級者のためのウエイトトレーニング解説

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Drジム•ストッパーニ

20139/18

筋肉痛が起こらなくなった時に初めて読んで下さい。

筋肉の成長を引き起こすために筋肉の損傷は不可欠なのか

トレーニングの後の筋肉痛皆さんは経験があると思いますが、強度の高いワークアウトの翌日や翌々日に起こる強い筋肉痛です。最初のうちはこれも快感の1つで、良いワークアウトをしたと満足感に浸れます。DOMSという遅発性筋肉痛の事なんです。頭を洗いたくても、手が挙がらない、靴下をはけないなど数え上げればきりがないほど傷みが起こります。が、しかし、トレーニングを積んで行けば、行くほど起こらなくなってきているとお気づきのトレーニーの方も多いと思います。トレーニング後に筋肉痛が起こらないと不安に思うのですが、その時にふと、トレーニング方法が間違っているのでは、筋肥大が起きないのでは?と考えてしまうでしょう。筋肥大(筋肉の成長)とは、損傷を受けた筋肉が元の状態より強く、大きく再生されて、筋肉が成長していくからです。

しかし、よく考えてみると僕自身、ほとんど痛いという筋肉痛は昔からほとんどありません。ここ3ヶ月の間でも数回です。もちろん、軽い張りはありますが。と言っても過去から今まで筋肥大、筋肉の成長は続いています。不思議ですよね。と言うことで、筋肉の損傷は筋肥大と筋力向上につながるものとしても、長期的な筋肉の成長に絶対不可欠なものという点では論争がありますように、筋肥大については色々な学説があり、どれが正解なのか難しいところでもあります。筋肉のダメージを与えることだけが筋肉の成長につながるのでしょうか?

幸い、筋トレドクターとしてアメリカで有名なジム•ストッパーニさんの記事がMuscle &Fitness 2012/11月号にありましたのでまとめてみて紹介します。

JIM

 

 

 

 

筋肉の損傷に関する発見

筋肉の損傷とそれが筋肥大におよぼす影響については、これまでに多数の研究が行われている。筋損傷の過程と筋肥大への影響については、実際に多くの事がわかっている。筋肉の損傷は2種類ある。

  • 機械的(物理的)な負荷によるもの
  • 化学的な負荷によるもの

 

機械的(物理的)な負荷によるもの

筋線維機械的負荷は重い重量を扱った時に起こります。筋線維の収縮の仕組みは、動作方向を一方に制限するために用いられるラチェット機構(一方にしか回らず、逆回転を強いると損傷が起こる)に似ています。ミオシンという特殊なタンパク質がアクチン(同じくタンパク質の1つ)と結合し、アクチンを引き込むが、ウエイトを上げる時にには1つの筋線維内にこのアクチンとミオシンの結合が無数に生じます。この作用によって筋肉は収縮します。これが、筋肉の収縮によりウエイトが上がる仕組みです。例えば、上腕二頭筋が短くなることによって、腕が肘関節で曲がり、カール動作でバーベルが上がります。バーベルを下ろすときには、この筋肉は長くなり、ミオシンに対してアクチンはもとの位置に戻っていき、結合が解かれます。しかし、ウエイトが非常に重いと、筋線維は下がっていこうとするウエイトの重量に抵抗しきれず、ミオシンとアクチンの結合が引き裂かれてしまいます。この引き裂く力が、筋線維の他の構造も破壊することになります。

重いウエイトを使わなくても、こうした筋肉の損傷は起こりえます。動作を繰り返して筋肉が疲労してくると、筋肉が長くなっていく局面で、下がっていくウエイトに抵抗する事が難しくなります。この場合もアクチンとミオシンの結合が引き裂かれ、損傷が起こります。

こうした機械的な負荷による筋肉の損傷は、体の他の部分のキズと同じです。損傷の直後に炎症反応が起こり、最終的には筋線維が回復して、元より強く大きくなっていきます。炎症反応をきっかけとして、各種白血球、細胞のメッセンジャー、化学物質、液体成分、成長因子、衛星細胞と呼ばれる特殊な細胞など、さまざまな要素がこれに関わります。

損傷が起きると、そこに最初に到着するのが好中球です。好中球は白血球の一種で、酵素、毒性の化学物質などを分泌し、損傷した組織をさらに破壊します。好中球を追って駆けつけるのが、マクロファージ(大食細胞)という別のタイプの白血球です。マクロファージが適度に破壊された組織を文字どおり食べ尽し、きれいに掃除して再構築の準備を整えます。そして、筋細胞内でこの破壊、清掃の過程が起こっている最中に、大量の液体が筋細胞とその周囲を満たします。これが腫れになるわけです。

 

筋肉の損傷から成長へ

筋核の多い筋肉損傷部位の清掃と損傷した組織の除去を助けるマクロファージからは化学物質が分泌され、無数の過程で小さいながら重要な役割を果たし、これが最終的には衛星細胞の活性化、成育につながります。衛星細胞は特殊な幹細胞で、通常は筋肉で眠っています。ところが損傷が起こるとそこに移動し、核を筋内に持ち込みます。衛星細胞はもともと有った筋線維と融合して1つの細胞となるので、この筋線維は核が増えた状態となります。筋細胞の核は筋肉作りをスタートさせる司令塔の役割を持つので、筋細胞に存在する核の数が多いほど、筋肉の肥大が進みます。そうして、筋肉はより大きくなっていきます。筋肉が大きくなっていく過程で、衛星細胞は非常に重要な役割を果たします。ウエイトトレーニングを積み、筋量が多い人は、筋線維(筋細胞)1個あたりの核の数が多い事が研究で示されています。そして、核の数が多いほど「筋メモリー(筋肉の記憶)」と呼ばれる現象につながる事も認められています。これは以前にトレーニングをしていた人は、筋量が落ちても、トレーニング経験のない人よりも回復するペースが速いというものです。この理由は、核の数が多いことから、筋タンパク質の合成が早く進むからです。

筋肉の損傷で起こる炎症により、細胞の体積が増加するが、これも筋肥大を進める事につながります。筋細胞が液体で満たされると、筋細胞の膜が引き伸されます。そうすると細胞には、「サイズを大きくし、構造を強化して、細胞が破裂するような腫れを防ぐこと」という信号が送られる事になります。そして筋細胞では、筋タンパク質合成を促進し、同時に分解を抑える働きが起こるのです。クレアチンやタウリン、グルタミンといった筋細胞に水分を引き込むサプリメントが長期的に筋量増加につながる理由の1つはここにあります。

 

筋肉の損傷は本当に必要なのか

筋肉作りという観点では、筋肉の損傷は明らかに重要です。筋サイズを最大限に増やすには、その筋肉の核を増やさなければなりません。しかし、トレーニング経験を積んでいくと筋肉に損傷を引き起こす事は難しい問題になっていきます。

定期的なトレーニングを何年か継続していくと、高強度テクニックを取り入れて極端に高い強度でトレーニングをしなければ、筋肉痛が引き起こされる事はなくなっていきます。筋肉を損傷から保護するためのメカニズムがつくられるからです。運動科学の分野では、このことは「繰り返し効果」と呼ばれています。こうした現象が起こる正確な理由は明らかにされていませんが、ある筋線維が一度損傷を受けると、その後最低数ヶ月間は、その筋線維が損傷を受けることは無いと言うのは事実です。

 

化学的負荷(炎症による細胞の体積増加も筋肥大に役立つ)

mRNA喜ばしい事に、筋細胞には肥大のための方法が他にもあります。損傷した筋線維の核の増加だけでなく、筋肉のタンパク質の量を増やすことによっても、肥大は起こります。筋肉の主要構成要素はタンパク質です。少なくても構造をつくっている部分の多くはタンパク質で、筋タンパク合成という過程を経て、タンパク質合成量を増やすことによっても筋肥大は可能なのです。筋タンパク質合成は、アミノ酸を1つずつ結びつけていく過程であり、筋細胞の核内とその周辺で起こる。筋肉を構成する各種タンパク質のアミノ酸配列をコード化している遺伝子がDNA内にあり、「特定の遺伝子を活動させてタンパク質をより多くつくるように」という信号が核に届くと、メッセンジャーRNA(mRNA)を使ってそのタンパク質の配列を複写します。mRNAはその核を離れて、個々のアミノ酸をつなぎ合せて長い鎖をつくり、タンパク質をつくります。これが筋肉となります。もちろん、この説明は実際に起こっていることをごく単純化したものです。

核が信号を受取、遺伝子を活性化して、より多くのタンパク質を合成する重要な方法の1つとなるのが、ウエイトトレーニングです。ウエイトを上げるという機械的負荷とともに、収縮のためのエネルギーを生み出すために筋肉に生じる化学的負荷も、遺伝子の活性化、筋タンパク質合成の増加につながります。こうした信号を発するためには、化学的、生化学的な多数の過程が関わりますが、なかでも重要な働きをするのがmTOR(ほ乳類ラパマイシン標的タンパク質)、MARK(分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ)、テストステロン、成長ホルモン、IGF(インスリン様成長因子)-1、サイトカイン、インスリンです。

ワークアウト中、ワークアウト後に十分なアミノ酸が筋肉に供給されていれば、ワークアウト後の筋タンパク質合成によって、筋肥大が進む事は明らかです。(だからこそ、ワークアウト前後のプロテイン摂取が重要となります。)しかし、1個の核による筋タンパク質合成では、それだけの筋肥大しか生まれません。したがって、筋タンパク質合成を最大にするためのトレーニングだけでなく、筋細胞の核の数を増やすトレーニングも必要になってきます。筋細胞の核が増えれば、個々の筋細胞での筋タンパク質合成が増加し、筋肥大が最大限に進む事になります。

 

以上でジム•ストッパーニさんの記事は終わりなのですが、筋肉痛が起こらなかっても心配する必要はなさそうですね。一歩進んだ証拠でもあるわけです。

そこで、ここまでの記事を参考に筋肥大について考えてみる必要があります。特に昔から筋肥大=高重量という考え方が一般的でしたが、その概念を考え直すべきかもしれません。次回はストッパーニさんが3ヶ月間の「筋肥大を継続するプログラム」についての方法を紹介したいと思います。筋トレは試してみて検証の繰り返しです。僕も減量の期間が9月で終わりなので10月からは筋肥大をメインに実行し検証してみます。

それでは次回をお楽しみに!

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