筋肉の謎を解く(ストリエーション)について

ストリエーションな肉体 筋肉
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ボディビルやトレーニングの雑誌を見ているとストリエーションやバルクという言葉が良くでてきます。皆さんも良く聞いていられると思いますが、実際のところは本当の意味を知っている方は少ないと思います。解説します。

ストリエーションは研ぎすまされた肉体の証

ストリエーションの見える筋肉

大きく巨大な筋肉はバルクと呼ばれています。皆さん、ご存知でしょう。

カットは切れと訳されますが、ストリエーションやセパレーションはどうでしょう?

調べてみましょう!ちょうど良い記事を発見しました。

アイアンマンやボディビルディング、Muscle & Fitness以外にマニアックで素晴らしい季刊誌を見つけました。

トレーニングマガジンという3ヶ月に1回発行されるB5サイズの書籍です。

持ち運びにも小さくて便利でいつも鞄に入れています。

ちょうどVol25号にストリエーションの記事がありましたのでまとめてみました。

トレーニングマガジン25号

書かれているのが東大の石井直方先生(元ビルダー)と比嘉一雄教授(東大大学院)です。

ストリエーションとは

  1. カットとは違うの?混同しやすい用語
  2. 筋ストリエーションを出す条件

ストリエーション(Striation)とは直訳すると筋(すじ)、または条線という意味です。肉体的に使われる時には、グッと力を入れた時に筋肉に刻まれる筋(すじ)のことです。

あれ?自分には無いぞと思われる方も多いと思います。ストリエーションはしっかりトレーニングを積み重ね、肉体を研ぎ澄まさないと(筋量も増え、体脂肪を落とさないと)現れないのです。

筋線維のラインが見えてきた」という話を聞くことがありますが、筋線維は直径が0.1ミリなので個々に見えることはありません。実際は筋線維の束(筋束)が発達によって、筋膜を内部から押しやるようにして皮膚の上から見えるようになったものがまさしく筋ストリエーションだと言えます。

Instagram

上記の写真はアメリカのプロトップビルダーのカイ・グリーンさんです。彼の左太ももの外側に横に何本もラインの入った筋肉が見えます。

これが筋肉のストリエーションです。アメリカのミスターオリンピアに参加するボディビルダーの写真を見れば素晴らしいストリエーションが見られます。体脂肪も究極まで落として、また、筋量もハンパでは無いので参考になります。

カットとは違うの?混同しやすい用語

ボデイビルディングの用語で似た様なものがたくさん有ります。
ボディビル用語

  • バルク(体積のことで筋量を表す。)
  • セパレーション(境目のことである筋肉と別の筋肉との境目。)
  • カット(ストリエーションとセパレーションを包括して用いられる。キレてる!)
  • バスキュラリティ(血管分布状態と医学的にいわれるがボデイビル界では脂肪の少ないところに血管が隆起した状態をいう。)
  • デフィニション(セパレーション、カット、バスキュラリティを包括した言葉。)

筋ストリエーションを出す条件

どうすれば筋ストリエーションを出すことができるのでしょうか?

以下の6つの条件が必要となります。
ストリエーション必要条件

  1. 脂肪を減らす
  2. 筋肉をつける
  3. 水分量を落とす
  4. 平らな部分が多い筋である
  5. 筋膜・腱膜が薄い筋部位である
  6. 筋収縮状態である

1)脂肪を減らす

ストリエーションは前述のように筋線維が束になってできた筋束ラインです。

皮膚の上から確認するには体脂肪が10%を切るのが目安です。

脂肪を減らすにはどうするか。

「摂取カロリーが消費カロリーよりも小さい日を繰り返す」ことです。これは大原則であり、この原則を無視して体脂肪の減少はあり得ません。

高タンパクな食事

食事のポイント

  • 脂質はできるだけ抑える
  • 高タンパク食にする
  • 夕食の糖質は控えめにするが、決して抜かない

脂質はできるだけ抑える」ですが、糖質、タンパク質は1g当たり約4kcalですが脂質は9kcalあります。

「高タンパク食にする」これは非常に重要です。タンパク質は代謝をあげる筋肉を作る原料です。また、タンパク質は腹持ちも非常に良い栄養素です。ただ、肉や魚から摂るとどうしても多くの脂質も一緒に摂ってしまいます。鳥のささみや胸肉、マグロの赤身などがお勧めです。

トレーニーの皆さんはプロテインがありますので心配入りません。「プロテインは太る」は迷信です。トップビルダーがプロテイン摂取をやめないでしょ!

夕食の糖質は控えめにするが、決して抜かない」ここが大事です。昨今、低インスリンダイエットが流行していますが、提唱者のアトキンスの主張が歪んでしまい、(糖質を全く摂取しない方がいい)というふうになってしまっています。

糖質を摂取しなければ、脂肪になりにくいのは間違いないのですが、同時に筋肉にも栄養が行かなくなるのです。

筋肉が痩せてしまうことになってしまいます。

代謝を上げる筋肉は言わば脂肪燃焼工場です。それが減少するのは、必死に食事を我慢して、太り易い体を作っていることにほかなりません。絶対にやめて下さい。

2)筋肉をつける

筋力を増強させ、筋肥大のプログラムをひたすら続けることに他なりません。長期間の努力が必要です。

筋肥大については、詳しくはブログ内の記事を参考にして下さい。膨大になりすぎるのでここでは割愛させて頂きます。

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3)水分量を落とす

筋ストリエーションを出す為には、体の水分量も重要になってきます。ヒトの体の60%以上が水分ですので、水分量が少なくなると脂肪などの細胞組織の体積が小さくなります。そうなると筋肉を覆うヴェールは薄くなりますので、筋肉のラインが強調されやすくなります。

極限まで水分量を抑えることで、コンテストビルダー達は体を仕上げているのです。

水分量を落とすには水分の摂取を制限するのが一番なのですが、それだけでは十分ではありません。

水分コントロール

  • 塩分を制限する
  • 糖質を制限する
  • クレアチンを摂る
  • カリウム•マグネシウムを摂る

塩分を制限する塩分を多く摂ると、細胞内のイオン濃度を調節する為に、細胞内に水分を保有するという特徴が有ります。塩分の摂取量を減らすと水分量は減少します。

1日に推奨される摂取量は10gですが、6gを目標にしてみてはいかがでしょうか。(高血圧の方の推奨値です。)

塩分の測り方は「ナトリウム」と表示されている数値に2.54をかけると塩分量になります。

糖質を制限する」糖質(グリコーゲン)も塩分と同じで、体内に存在するために水分を必要とします。その量はグリコーゲン1gに対して2〜3gです。お米やパンの量を減らすと水分量を減らせます。

糖質制限ダイエットに即効性があるとされるのは、この糖質の水分保持が無くなるからなんです。体重は落ちますが、細胞サイズが小さくなっただけで、通常の食事に戻すと体重は簡単に元に戻ってしまいます。

ここが大事です。糖質は筋肉の合成に必要なので制限しすぎると、筋肉も減少してしまいます。それと、塩分も糖質も生体維持に必要不可欠なので過度な制限は禁物です。

慢性的にこれらを制限すると脱水症状や低ナトリウム血症で死に至る場合もあるので要注意です。

クレアチンを摂る

クレアチンを摂る」クレアチンは、筋収縮エネルギーであるATPをADPから再合成する際に使用される酵素です。クレアチンは塩分や糖質と同様に体内に留まる為に多くの水分が必要となります。しかし、異なるのは筋肉酵素なので筋特異的に(内蔵は考えない)水分量が増えるということです。これは筋ストリエーションを出すにはクレアチンが非常に有効なサプリメントと言うことです。

カリウムとマグネシウムを摂る」カリウム、マグネシウムは塩分や糖質と全く逆に体内の水分量を減少させる働きが有ります。

4)平らな部分が多い筋である

ここからは必要条件の部分になります。

脂肪を削り筋肉があって水分をコントロールできても、全身の筋肉にストリエーションを刻むことはできません。筋ストリエーションが刻まれるのは、基本的に平らな面のある筋肉です。具体的にいうと、大胸筋、広背筋のような扇形筋などです。三角筋、上腕三頭筋もストリエーションの入り易い筋肉です。

ストリエーションの多い上腕三頭筋

臀筋も平らな筋肉ですが、体内で最も脂肪の分布も大きいのでストリエーションを出すのは困難な部位です。ここにストリエーションが入ってきたら、研ぎすまされた証拠です。

逆に上腕二頭筋や前腕の筋群は紡錘状筋なのでストリエーションは入りにくい筋肉です。

5)筋膜・腱膜が薄い筋部位である

筋膜ストレッチ

どんなに筋肉が発達しても、その表層に腱や膜が分厚ければストリエーションは入りません。腹筋や脊柱起立筋は厚い筋膜に覆われているので、縦のラインは非常に出にくいです。

6)筋収縮状態である

筋肉は安静状態では、弛緩しているので、長く細く柔らかい状態です。

その状態では筋膜を内側から押し出すことは無いので、筋にストリエーションは走りません。ですから、ボディビルのポージングなどは、いかにセパレーションとストリエーションが見えるように収縮させるかが大切になってきます。

ロニーコールマンのダブルバイセップス

写真はロニー・コールマンのバックダブルバイセップスです。バイセップスとは上腕二頭筋ですがこのポーズはふくらはぎから臀筋、脊柱起立筋、広背筋、大円筋、三角筋、前腕と見える部位全部の筋肉が収縮されるように計算されつくしています。

ロニーの完璧な筋肉

それは筋肉は収縮していないと、素晴らしいデフィニションを主張した状態にならないからです。実際に、全身に力を入れているビルダーは舞台の袖にはけると倒れ込むことも少なくないです。それほどまでに限界に仕上げて、限界までパフォーマンスをしているのです。

今回はストリエーションについてトレーニングマガジン25号を参考にまとめてみました。

皆さんもストリエーションが出るよう少しづつトレーニングを頑張りましょう。

僕は今月から5×5法を1ヶ月取り入れてトレーニングに励みます。

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コメント

  1. 比嘉一雄 より:

    記事ありがとうございます!

    • gijoegalliano より:

      比嘉先生、わざわざありがとうございます。先生や石井先生の記事を参考に(ほとんど引用ですが)書かせてもらっています。トレマガでも先生の記事を楽しく参考にしています。僕は先生の監修の”48歳からも成長ホルモンできれいになる”の考えに賛同で、もう一つは”理想の体は筋トレでしか作れない”が信条です。もうすぐ60歳ですが理想を目指して自分自身も頑張りますが、ボディビルや筋トレが間違った解釈を受けているのも事実です。それを正す為にも普及させたいと思います。つたない記事ですが間違いがあれば正して下さい。今後も先生の記事を紹介、引用させて行きます。宜しくお願いします。今回はほんと、驚きました!

  2. 和野 より:

    あなたの内容はすばらしかった。勉强しています。

    • gijoegalliano より:

      和野さん、コメントをありがとうございました。そして、遅くなったことをお詫びします。スパムが多すぎて埋もれてしまっていてごめんなさい。またの機会に和野さんのトレーニング歴などを教えて下さいね。激励を感謝します。モチベーションが上がります。週に1回ほどの投稿ですが、どんな記事を書けば良いのか悩んでいますので、どんどんリクエストして下さいね。今後ともよろしくお願いします。

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