パンプアップから未来の自分の姿を想像できる!

2017/08/18

パンプアップとは

トレーニングの経験者である皆さんはパンプアップによる血管の隆起や筋肉の張った自分の姿にうっとりとしたことがあると思います。 かのアーノルド・シュワルツェネッガーも「パンプアップはセックスよりも気持ちがいい」と豪語しています。が、しかし、20分〜30分もすればすっと消えていく悲しい面も持ち合わせています。そのパンプアップについて間違った認識を持っている方も少なくありません。今回はそのパンプアップについて月刊トレーニングマガジンでおなじみの比嘉一雄先生の記事を参考にまとめてみました。

パンプアップについての解釈で良くある誤解

 

かなり追い込んでトレーニングをすると筋肉は空気が入ったようにパンパンになります。これをパンプアップ(pump up)と言います。体脂肪の少ない方であれば太い血管が浮き出てきたりします。これを筋肉の充血と解釈している方がおられます。しかし、これは正しくはありません。パンプアップは筋肉の損傷とは別物です。血液ではなく血液成分の中の血漿(水分)の流入によって起こっているからです。この様な誤りは筋肉を激しくパンプアップさせ、その状態をなるべく長時間持続させる様なトレーニング法を「充血法」と言っていた事から来たのかもしれません。

これは科学的なエビデンスがある訳ではないのですが、パンプアップの状態というのは、だいたいトレーニングを2ヶ月必至に頑張った後の筋肉の状態だと言われています。刹那ではありますが、鏡に写った2ヶ月後の自分、、、、、。パンプアップは未来からのメッセージとも言えるのです。 ではパンプアップはどのようなメカニズムで起こるのでしょうか?  

パンプアップのメカニズム

パンプアップは細胞内への水分(血漿)の流入によって起ります。先にも書きましたが血液ではありません。大きな筋力発揮を行うと、解糖系の代謝産物として「乳酸」が、エネルギー代謝産物として「アデノシン」が筋肉内に多量に蓄積してきます。これらの蓄積によって筋肉内のイオンバランスが崩れ、pHが下がります。(酸性に傾く)身体には体内の各組織の溶解濃度を一定に保とうとする働きがあるので、筋細胞膜のイオンチャンネルなどから周辺の水分が取り込まれ、濃度を調整しようとします。その結果、筋細胞は膨張します。これがパンプアップのメカニズムなのです。(下記参照)

パンプアップの仕組み

  上記したように、パンプアップは筋肉の充血ではありません。筋肉内の血流量は、小さい力(最大筋力の役30%)で収縮すると増える事が知られています。しかし、発揮筋力を上げていくと、筋内圧が増えるので筋肉に血液が流入しにくくなり、最大筋力の80%を超えるような強い力を発揮すると、ほとんど血液の流入がなくなり、筋収縮中に局所性貧血が起ります。筋肉も貧血を起こすのです。 そして筋収縮を緩めると、その周辺の筋肉の循環抵抗が大きく減少し、その結果、多量の血液が筋肉に流れ込みます。「過血流」状態になるのです。しかし、この筋肉の血流量の増大は、流入する血液(動脈流) と流出する血液(静脈流)の両方の増加によって起るので、筋肉が「充血」するということにはなりません。あくまでも水分の交通量が増えるだけなのです。 もし、パンプアップが血流量の増加によって起るのでしたら、サウナや入浴、ストレッチ、さらにはマッサージによって血流量が増えてもパンプアップすることになります。  

パンプアップに血流は関係ないのか

では、パンプアップに血流量は関係ないのでしょうか? そんな事はありません。血流が多いと、それだけ体内の栄養素や不純物の循環が良くなりますので、前述の「乳酸」や「アデノシン」などの代謝産物をクリアランスする時間が早くなります。クリアランスが進み、筋細胞内のpH値がが安定してしばらくすると、筋肉細胞内の水分量は減ってきて、パンプアップ状態は収まり、やがて、元のサイズに戻ってしまいます。   筋肉の損傷とパンプアップの関係は? 前述したように筋細胞の損傷とパンプアップは別のものです。確かに、重度の筋損傷を引き起こすようなエクスサイズを行うと、その損傷部分に水分が集中し、その周辺が熱を持ち腫れる事が有ります。しかし、それはパンプアップではなく、「浮腫」もしくは「エデマ」といいます。 まず、浮腫はエクスサイズ後、2〜3日後から現れます。このことからもパンプアップと、その性質が異なる事がわかると思います。さらに浮腫は、損傷した細胞胞内から水分が漏れ出てしまって、周辺に水が溜まった状態のことです。腫れは時間をかけて次第に重力方向へ移動していきます。こういった理由で、長くても20〜30分しか持続せず、トレーニング部位にしか現れないパンプアップとは全く異なるのです。  

パンプアップが筋肥大へ及ぼす影響は

ではパンプアップは筋肥大を目指す我々トレーニーに有益となりうるのでしょうか? パンプアップ2 パンプアップが引き起こされる、「乳酸」が蓄積されるようなエクスサイズは、筋肉成長因子であり、脂肪を分解する作用のある『成長ホルモン(GH)』の分泌を促します。そのGHは、筋肥大を強く促すホルモンである『インスリン様成長因子(IGF-1)』の分泌をも促します。 『乳酸』→『GH』→『IGF-1』と間接的に筋肥大の作用を引き起こすと考えられています。ですので、パンプアップを引き起こす様なエクスサイズは、筋肥大の効果が期待出来るのではないでしょうか。  

パンプアップを引き起こすエクスサイズ方法

パンプアップを引き起こしやすいエクスサイズはスロトレやチューブトレーニングのように、その動きの中で筋肉が弛緩しにくく。筋内圧が高まったまま抜けないエクスサイズです。 繰り返しになりますが、パンプアップするには、乳酸やアデノシンなどの代謝物質を溜め込まなければなりません。その為には筋肉にできるだけクリアランスの機会を与えない、すなわち血液を流入させない状態を作るエクスサイズを行い、筋肉の環境を悪化させる必要が有るのです。 特に、ゴムチューブやエキスパンダー、チェーントレーニングのようにレップの後半になるにしたがって負荷が増加する「終動負荷」のエクスサイズは「増張力性収縮(auxotonic contraction)」といい、パンプアップを引き起こすにはうってつけです。増張力性収縮では、筋肉が血液を絞り出すように働くため、強くパンプアップするのでしょう。 ちなみに、通常のトレーニングは、反動を使ったり、筋の長さ、張力関係、慣性などが関係して、動作の最初に大きな筋張力を発揮し、その後、張力は次第に減少していき、プライオメトリック(筋肉を急激に素早く伸展させることによって伸張反射の働きが生じ、その直後により大きな筋収縮(短縮)を得ることが出来る。)にもなると完全に張力が抜けてしまうこともあります。そうすると筋がポンプの作用をして、筋肉の血流を止める事ができません。  

パンプアップとバーニング

上記のスロトレや終動負荷トレーニングを行うと、筋肉が燃えているように熱く感じる事があります。これを「バーニング」といいます。 バーニングは、高強度エクスサイズの末の乳酸やアデノシンなどの代謝産物が、筋肉の中にある「侵害受容器」を刺激し、神経を過敏に反応させるのです。それによって痛みが発生するのです。決して物理的に損傷をしている訳ではないのですが、身体の防衛反応だと考えられます。つまり、パンプアップとバーニングは切っても切れない関係なのです。しかし、この痛みこそがパンプアップの醍醐味であり、やみつきになるところなのかもしれません。パンプアップは一筋縄でいかない、まさにファムファタール(運命的な恋愛の相手、もしくは赤い糸で結ばれた相手)なのです。  

パンプアップの注意点

一方でパンプアップには何点かの注意点もあります。それは筋肉の可動域を減らし、筋力やパワーを一時的に低下させてしまいます。上記のような、ゆっくりとして効かせるエクスサイズは、俊敏性を低下させてしまう事が研究報告でもわかっていて、アスリートにとっての良い動きに悪影響を与えてしまいます。「動き作り」を目的としたトレーニングにはパンプアップは不向きですので注意が必要です。もちろん、筋肥大を目的としている皆さんには、大変有効ですので積極的に取り入れて下さい。各種エクスサイズの最後に組み込むのが良いと思います。 今回も愛読の月刊トレーニングマガジンの比嘉一雄先生の記事を紹介し、少しだけ付け加えました。皆さんもパンプアップした身体を鏡に映し、未来の自分を想像して下さいね。パンプアップは『乳酸』→『GH』→『IGF-1』この流れを生むので高重量や中高重量でのトレーニングの最後に行ってホルモン分泌を盛んにさせ、身体をバルクアップさせましょう! 本業に追われて、なかなかブログの更新が出来ずにストレスが溜まっていましたが、やっと一記事が書けて満足しています。頑張って来週も続けま〜す。