筋肥大の為の肩のトレーニングをもう一度おさらいしてみます。(その2)木澤大祐選手編

肩のトレーニングのペックデッキ トレーニング
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肩のトレーニングほど個人でフォームの違いがある部位は無い

木澤選手

前回に高梨圭祐選手の肩のトレーニングについて書きましたが、この部位はトレーニーが10人いれば10通りのフォームや考えに分かれます。それほど個人的に効き具合や感覚が違うのだと思います。それゆえ他人(一流ボディビルダーであっても)の理論やトレーニング解説は一般の初級者から中級者には無縁かもしれないのですが、違うからこそ自分自身にあったエクスサイズ方法を探し出すのが筋肥大への道だと私は思います。一流のボディビルダーの方々は苦労も努力も半端ではありません。3ヶ月間ほどただ、黙って真似てみるのも近道かもしれません。その経験の中で自分にあった練習方法を見つければ良いのではないでしょうか!

今回はジュラシックこと木澤大祐選手のトレーニング方法や理論をトレーニングマガジン最新号Vol33からまとめてみます。

ジュラシック木澤大祐的”肩”強化術

以下インタビュー形式で書いて行きます。

木澤選手のトレーニング
ー肩のトレーニングについてはいかがですか?
木澤選手 現在肩のトレーニングは多くの種目を行っていません。こだわりはずっとあって、行うトレーニングはレイズ系がほとんどです。プレス系種目はほとんどやりません。
ーそれはどうしてですか?
木澤選手 プレス系は肩のフロントがメインの種目です。それよりも、ボディビル競技で必要なサイドとリアをメインにする事が必要だと思っています。

ーそれだと、三角筋全体で見た時にボリュームがアンバランスになる事は無いのですか?
木澤選手 フロントは大胸筋上部とほぼ連動するので、胸の上部のトレーニングをしっかり行っていれば、フロントが弱いという人はいないと思います。そうなると、肩はやはり横への張り出しや、後部の隆起がポイントになります。
ーなるほど。現在のトレーニングの分割を教えてください。肩と腕は別の日に行っていますか?
木澤選手 現在は6分割です。オフを1日入れて1週間でまわしています。肩と腕は別々、さらに腕は二頭筋と三頭筋で分けています。①脚前、②脚裏、③背中の中下部、④胸の上部+肩、⑤背中の上部+二頭筋、⑥胸の中下部+三頭筋。この形にしたのは1週間に2回背中と胸を行いたいからです。

肩のマニュアルトレーニング

インクライン・サイドレイズ

ー肩の実施種目について教えてください。
木澤選手 肩についてのみ、現在はパートナーをつけて行っています。パートナーをつけるのは補助ではなく、マニュアルトレーニングを行う為です。例えばフリーウエイトで通常のスタンディングサイドレイズを行う場合、腕が地面に水平の角度で最も負荷がかかり、三角筋が収縮します。角度が小さいストレッチポジションではあまり負荷がないですし、水平以上になると僧帽筋が動員され動作も難しくなります。そこで負荷が少ない角度のところでは補助者に抵抗をかけてもらうことで、すべての稼働域を1種目でトレーニングしてしまおうというのがマニュアルトレーニングの狙いです。もちろん元の姿勢に戻る局面では、ネガティブ・エクスサイズもしっかり行います。

肩のトレーニング

負荷の少ない角度では補助者に抵抗をかけてもらう

ーサイドもリアも同様ですか?
木澤選手 そうですね。やり方としては、右肩のリアレイズを行い、そのまま休む事無く右肩のサイドレイズに移行します。次に左肩のリアレイズとサイドレイズを行います。この流れで3セット実施します。フォームとしては、スタンディングではなくトレーニングを行う方の肩を上にしてベンチに横向きに寝た姿勢で行います。マニュアルトレーニングを取り入れるのはこの1種目だけで、その後はスタンディングリアレイズを1種目の中で2バリエーション行います。そして最後はプレス系種目をチャチャッと(笑い)。前述の通り、プレス系は別になくてもいいくらいに考えています。

ーマニュアルトレーニングを取り入れたのは、いつ頃からですか?
木澤選手 2年ほど前からです。高重量を扱うわけではないので、最初は物足りないかなと思っていたのですが、翌日の筋肉痛が尋常じゃないですし、これでもかというくらいパンプアップします。マシンで行った時とは比較にならないほどなので、見た目に反して相当強度は高いと実感しています。かなりしつこく追い込む種目なので、精神的にもドッと疲労します。後はすべての稼働域を1種目で終える事ができるので、時間短縮にもなります。通常であれば3種目(ミッドレンジ、ストレッチ、コントラクトのPOF理論)必要なところを、1種目で終える事ができるわけです。胸の上部に1時間半ほどかけるのにたいして、肩は30分もかかりません。

リアレイズ1

上体を起こして実施

ーそれは時間がない時にもお勧めですね。ところで肩は可動域が広く、複雑な動きが可能な関節です。それゆえにトレーニングの難しさがあるような気がするのですが、実際にはいかがなんでしょうか?
木澤選手 感覚がかなり大事だと思います。教科書通りのフォームや種目でも良いと思いますが、例えば「腕を上げる」 という動作一つをとっても、その角度は何通りもあります。これに上体の角度というオプションがつけば、さらに動きのパターンは増えてきます。ですから、狙った筋肉に一番効きやすい角度はどこなのか?より重い重量を扱える姿勢はどれか?状況に応じて、一番いい感覚をつかめる自分なりのポジションを見つけることが大事だと思います。トップビルダーのトレーニングのDVDを見ても、肩のレイズ系種目だけは皆さん千差万別ですよね。自分の効きやすい微妙な感覚で、基本種目をアレンジしています。

リアレイズ2

インクラインベンチにおでこをつけて実施

ー重量よりも感覚、ですか?
木澤選手 やはり肩に関しては特に感覚を大事にしないといけません。その次の段階として、重量を増やしていきます。今でもダンベルで1kg増やしただけで効きが鈍くなることがあります。それくらい重量とフォームの関係が微妙な部位です。
ーフロント・サイド・リアで効かせる分けるポイントはありますか?
木澤選手 微妙なフォームで効くポイントを意識的に変えるのは、難しいのでお勧めしません。簡単なのは上体の角度によってあらかじめ狙ったポイントに効くようにすること。いろいろな角度で試すうちにサイドとリアの間など、より細かく効かせるポイントの違いが体験出来るようになります。慣れてきたら上げる方向や手首の角度なども試すと、より効きやすくなるでしょう。

ー一般のトレーニーが気をつけておくべき点はありますか?
木澤選手 リアレイズはロウイングと動きが似ていることもあり、背中に入ってしまうケースがあります。背中もある程度は動員されるものですが、明らかに肩がメインではないフォームも良く見かけます。特に初心者の方には難しいのかもしれません。
ーリアレイズをしっかり肩に効かせるコツは?
木澤選手 僕は肩甲骨を動かさないことを意識しています。寄せているのなら寄せたまま、開いているのなら、開いたままで動作を行います。
ー肩甲骨を寄せる・寄せない、はどちらでもいいのですか?
木澤選手 固定さえしていれば構いません。ただ、開いた状態で固定すると重りを上げる時、つまり三角筋を収縮させる際に肩甲骨が寄らないように意識しないといけないので、ちょっと難しいです。一方、僕のように寄せた状態で固定しておけば、元に戻す時に肩甲骨を意識すればいいので、思い切り力を出す事ができます。とはいえ、肩甲骨を寄せっぱなしにしていれば僧帽筋が疲れますから、どっちもどっちではありますね。自分がやりやすい方を選択すればいいと思います。あとはダンベルを後方でなく、横後方に開くイメージを持つといいですね!

 

以上で木澤選手の肩のトレーニングの理論であり近況です。たぶん、読者の皆さんもハッとされたと思います。高重量では無く効かせる重さなんです。と簡単に言いますが効かせる事が一番難しい部位の肩ですので、高重量のトレーニングを積んできた木澤選手の言葉は重いです。

僕自身、肩は特に三角筋後部は弱点ポイントです。高梨選手の理論の高重量でのプレス系、そして木澤選手から学んだ効かせるトレーニングを先週末に実践しました。

驚く事に肩に筋肉痛が起こりました。軽い重量なんですが!やっぱり効かせ方なのでしょうか?もう少し続けてみたいと思います。皆さんも実践して損はないと思います。

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