代謝の事をよく理解していれば、過度な減量をすることなくシェイプした身体を維持できます。遺伝的要素に振り回させずに無理なく体形を維持できます。
身体のタイプによる減量プランや食事の目安。なぜ、過度なダイエットがリバウンドを起こしやすいのかを代謝を知って学びましょう。
自分の代謝能力を理解しよう
人それぞれに資質の違いがあります。言い換えれば遺伝的要素です。代謝能力にも遺伝的要素で変わってきます。
つまり、すべての人が同じメニューでは減量は成功しないと言うことです。過去2回の記事で体のタイプが外胚葉型、内胚葉型、中胚葉型と遺伝的にあること。そして、持って生まれた脂肪細胞の数は決まっていること。
すべて遺伝的要素がからんできます。と言っても遺伝的要素に優れていないから悲観する必要はありません。ゴールインするまでに時間がかかるか、あるいはかからないかだけです。
今回はもう1つの要素の代謝能力について引き続きジョー・クレムチェウスキーさんの記事を紹介します。
肥満の原因は環境ではない
現代のアメリカには大勢の肥満者がいます。多くの肥満者にアンケートを採ったところ、彼らが最も体重を増やしたのは思春期の頃だったそうです。
しかも、最新の世代を調べると十代の肥満率は、それ以前の世代に比べて4〜5倍にも増加していることが明らかになっています。
さらに、年齢別の肥満指数(BMI)を調べたところ、半数は変わっていないが、残りの半数の肥満率が著しく上昇しているため、全体の平均が持ち上げられてしまっていることが解ります。
なお、代謝能力が低い人たちは、そうでない人たちに比べると、肥満になる確率が何と800〜1000倍高いことも解ってきています。
しかし、BMIでは半数が以前と変わらない状況が保たれているのであれば、問題なのは環境ではありません。環境が肥満増加をもたらしているのなら、BMIの傾向も、全体の数値が高まっているはずです。
環境が原因でないのだとすると、何が原因で残り半分の人たちの肥満率を異常なまでに増加させているのか、反感を買うかも知れませんが、おそらく、自分自身の健康に無頓着であったり、あるいは遺伝的に体重の増加が著しく速い遺伝子を受け継いでしまったなどの理由が考えられます。
このことはアメリカだけでなく日本でもほぼ同じです。
筆者の学生の頃はポッチャリ太った人の比率は低く、小学生の記憶では居なかったです。このことは食生活の変化(高カロリー食やスナック菓子、ポップなドリンク)と運動習慣の変化(室内でのスマホやゲーム等)の要因と思われます。
その誘惑の多い環境の中で身体をシェイプした状態に保つための基礎知識を以下の本文を参考にして学んでください。
代謝という言葉を正しく理解する
半数の人たちが肥満になりやすい傾向にあるわけです。では、そのような人たちはどうすればいいのでしょうか。
もし、あなたが代謝能力も高くなく、肥満しやすいと言うことは、まずその事実をしっかりと受け止めて、自分の体に十分な意識を注ぐことです。
友達と同じ食物を同じ量だけ食べることはできないという事実を認識することです。好きなものを好きなだけ食べることもできません。
あるいは、同じ減量法を行っても同じ結果を期待することはできませんし、友達と同じように体脂肪を勢いよく減らしていくことはできないことを理解することです。
厳しいですが現実です。
遺伝的要素によって決まった代謝能力の差が、そこまで肥満や減量に影響するだなんて思ったことも無かったと思います。しかし、それが事実です。
そもそも、私たちが日常的に使っている「代謝」という言葉には、実は私たちが想像していた以上に重要な役割があります。
なぜならば、代謝とは、細胞レベルで私たちの生命を維持するすべての過程に関わっている作用だからです。代謝がストップすれば、私たちの生命維持活動も停止してしまうのです。
エネルギーを作り出し、無駄を排泄する。この一連の過程こそが代謝活動なのです。
私たちの体の中では、常に新しい細胞が誕生し、古い細胞が死んでいきます。これを担っているのが代謝であり、だからこそ私たちが生きていく上で代謝を止めるわけにはいかないのです。
それだけ重要な代謝活動なのに、私たちがなにげに使っている「代謝」という言葉には、それほどの重みはありません。
なぜなら、私たちが使う「代謝」と言う言葉は、エネルギーの消費について語る時にしか使われないからです。
代謝が良いということは、エネルギーの消費が速く、したがって減量が進みやすいという意味で使ってきたはずです。しかし、代謝という言葉には、ただ単にエネルギーの消費が速くて減量が進みやすいという以上に重要な役割があることを理解しなければなりません。
代謝はホルモンが決める
代謝には重要な役割があるわけですが、その代謝をつかさどっているのがホルモンです。ホルモンは内分泌系であり、内分泌系はその人が両親から受け継いだ遺伝子によって影響を受けています。
しかし、内分泌系の能力はすべて遺伝子によって決められているのではありません。場合によっては外的環境や後天的な要素によっても変化するのです。
遺伝的要素は変えられなくても、外的要素は私たちの意志と行動によってかえられます。つまり、代謝能力を高めようとするならば、私たちは外的要素を見直して、それを実行することができるのです。
遺伝的要素で太りやすい体質と解ったなら運動習慣をつけたり、筋肉質を目指したりしましょう。
食生活もグリセミック指数に気を使ったり、食事回数を増やしたりすることで変われます。(もちろん、1日の総摂取カロリー内での話ですので勘違いしないでくださいね!)
グリセミック指数(GI値はグリセミック・インデックスの略)とは食後の血糖値の上昇の指標です。
血液中の糖濃度を測った指数で、摂取後二時間までの数値を指します。グルコースを100として70以上を高GI食品・56〜69迄を中GI食品・55以下を低GI食品と呼びます。
近年、増加している糖尿病の発症低減やメタボ予防に低GI食品が良いとされています。
参考
英語版ですがシドニー大学のグリセミックインデックスのデータベースです。
代謝は外的要因の食事で変わる
複数の研究で、炭水化物の摂取量を制限しすぎると、代謝能力は正常時の約半分まで抑制されることが明らかにされています。
もちろん一日だけ、あるいは一週間だけに限定して超低炭水化物食を行ったところで、いきなり代謝能力が低下するわけではありません。そのような食事を8〜12週間も続けたりすると、確実に代謝能力は半分近くにまで落ち込みます。
通常、ボディビルダーが行う減量は8〜12週間ほど続きます。
しかし、、超低炭水化物食を減量期の最初から最後まで続けたりすれば、確実に代謝能力が低下し、減量の進行が抑制されます。そのような減量の後退を予防するには、ときどき炭水化物の摂取量を増やして代謝を刺激する必要があります。
ボディビルダーやフィジカーの皆さんが減量中にチートデイと言って一食に限りドカ食いするのがあります。
このことも代謝能力が低下するのを防ぐテクニックです。(自分へのご褒美デイでもあります。)
実際、多くのボディビルダーが3〜4日おきに高炭水化物食摂取したり、あるいは週一回の頻度で低炭水化物の制限を解除したりするなどの工夫をしています。
なお、低炭水化物食法、あるいは超低炭水化物食法はケトジェニック・ダイエットとして知られています。
炭水化物をやたら制限する食事法があると思えば、カロリー全体を制限していく食事法もあります。
カロリーについても、炭水化物と同じように、あまり制限が厳しかったり、制限が長期にわたり続けられたりすると、やはり代謝能力を抑制する結果になります。
カロリーを制限せずに食事をすれば代謝能力は上がります。しかし、減量のためには摂取カロリーを制限しなければならず、減量期になれば誰だって摂取する食事量を減らし、カロリーを減らします。
ところが、矛盾したことに、カロリー制限が極端に行われれば行われるほど、代謝能力が低下し、体はエネルギーを温存しようと作用するようになります。すなわち、減量にブレーキがかけられてしまうのです。
では、どうすれば減量にブレーキをかけずに、減量を成功させることができるのでしょうか。
私たちが選択すべき方法は「ゆっくり減量する。」というやり方です。一気に、短期間で減量をしようとするから失敗するのです。ゆっくり時間をかけて減量をしていけば、減量は必ず成功するのです。
低炭水化物食を組み合わせてサイクルにするのと同じように、低カロリー食をしばし続けたら、代謝能力がそれに反応して減量にブレーキがかけられてしまう前に、高カロリー食をときどき食べるようにしましょう。
体をだましながら減量していくのです。
筋トレ理論でも「筋幻惑法」と呼ばれるトレーニングをマンネリ化させないテクニック的なものも存在します。筋肉も体も騙し騙しなんです。
なお、具体的な食事による減量法については次回で紹介していきますので楽しみにして下さい。
シャープな身体は外的要因を変化させないこと
体脂肪率が高ければ高いほど、テストステロンや甲状腺ホルモンの分泌量は多いです。また、体重が重ければ重いほど、それを維持するために沢山のエネルギーが必要になります。
さらに大きな体の隅々にまで血液を循環させるために、心臓はより一生懸命に働かねばならず、その結果よりおおくのエネルギーが消費されます。
こうしてみると、中には明らかに健康を害する様な状況が脂肪燃焼を促しているわけです。
実際、ある程度まで絞れていて、しかも健康であるという人は代謝が低いです。そして、不健康で体重が重い人は代謝が速いです。
これまで、大半の人たちは代謝が速いことは良いことだと認識してきたわけですが、実際はそうではありません。事実、代謝が速ければ速いほど、人は早死にしてしまうのです。生理学上、それは当然のことなのです。
複数の研究で、体が必要とするカロリー量より少なめの食事を続けると、人は長生きすることができるとしめされています。
アクティブな行動と基礎代謝によって消費されるカロリー以下の食事は楽しくはありません。高カロリー食は美味しい物が多いのも事実。(脇道にそれましたが、本論に戻ります。)
だとすれば、むしろ代謝を低下させる方法を知った方がいいのでしょうか?
いや、今回のテーマは減量を促すことです。確実に減量を成功させる方法を模索しているのです。したがって、目的を混同させず、やはり代謝を高めるための方法を個々では追求していきます。
ではどうして代謝スピードを緩めるのが長寿の秘訣であるという話題を出したのでしょうか。
それは、おおくの人が代謝について誤解している点に気づいていただきたかったからです。絞れている人がそのコンディションを維持することができるのは、決して代謝が速いからではありません。
絞れている人は、むしろ代謝が安定した状態で保たれており、速すぎもしないし、遅すぎもしない代謝スピードこそが理想なのです。
私たちが減量をする上で目指すゴールは、前述したとおり、代謝スピードを正常範囲内で収め、それを維持することです。不適切な食事を続ければ、代謝は正常範囲を越えて遅くなったり速くなったりします。
正常範囲を越えたスピードは決して勧められません。リバウンドや体調不良などの原因にもなり得るのです。
代謝スピードを安定させるには過激な減量をしないこと
減量中、私たちが望むことは代謝スピードを落とさないようにすることです。といって、絞りながら代謝スピードを高めることはできません。
理想は、代謝が落ち込まないように正常範囲に保つことです。通常、体脂肪の減量が進めば代謝は落ちますが、そうならないように食事を工夫していくことが必要です。
たとえばどんな工夫が必要なのか。
まず第一に、過激な減量はしないこと。また、短期間でゴールを目指そうとしないことです。
具体的に言うと、炭水化物を過度に制限したりすることをせず、減量中でも必要なだけの炭水化物を含めた食事を続けることが大切なのです。
必要な炭水化物の量は、その人の体の大きさや性別、日々の運動量、そして遺伝的な要素などによって決まってくる為に千差万別です。炭水化物を過度に制限すると代謝は瞬く間に抑制され、筋量の減少を招くことにもなります。
自分の代謝に合せた食事プランを組む
ところで、自分の代謝スピードが遅いのか速いのか、どのようにして判断することができるのでしょうか。また、減量中は自分の代謝スピードを知った上でどのような食事プランを組み立てることができるのでしょうか。
まず、最初の質問にたいする答えです。
自分の基礎代謝を知る為の指標は身長と体重、性別、さらに年齢などから導くことができます。
インターネットで「基礎代謝量」で検索をすると、必要な数値を入力するだけで、自動計算で基礎代謝を算出してくれるサイトもあります。(筋量は解りませんが)
また、最大酸素摂取量から代謝量を測定することもできます。
科学の進歩に伴って、代謝量の測定はかなり正確に行うことができるようになりました。が、現実には、用いられるアルゴリズムが進化しておらず結果的に誰もが同じ範囲に分類されてしまいます。
少なくとも自分の代謝量に関しては、よほど自分の体を注意深く観察しながら判断を下していく方が正確です。
たとえば新車にその車の燃費を示すステッカーが貼られていたとします。そして、そのステッカーにはガソリン1リットルあたり20kmの走行が可能だと記載されていました。
しかし、それを期待して実際に走ってみると、必ずしも高燃費でないことに気づかされます。なぜか。それは実際に車を走らせる場所が実験場では無いからです。
実際の車道には坂も信号もあります。また、ドライバーにもそれぞれクセがあります。そのクセによってもン燃費は変わります。
代謝量を測定するテストも同じです。一切の可変的な条件は無視してテストが行われます。それでも目安の数値は得られます。
例えば代謝量の計算は次のやり方で算出出来ます。
まず、摂取カロリー量を計算します。摂取カロリー量は1回の食事で何gのタンパク質、炭水化物、脂質を摂取したかをできるだけ正確に出し、タンパク質、炭水化物の重量に4キロカロリー。それに脂質の重量に9キロカロリーを掛けて計算します。これを毎食計算します。
同時に体重もできるだけ同じ時間に毎日測定します。一定の期間が経過したら、体重の変化がみられたかどうかを確認します。
そして、もし体重が減少していたら、摂取してきた一日のカロリー量は消費カロリーを下回っていたと判断出来ます。逆に体重が増えていれば摂取カロリーを上回っていたと判断出来るのです。
どれくらいの摂取カロリーで体重が増加するか、あるいは減少するかが解ってきたら、目安の摂取カロリー内の三大栄養素の割合を変えて暫く実験を続けてみます。
つまり、摂取カロリーは変えずにタンパク質、炭水化物、脂質の構成比を変えてみて、どの比率で摂取すると体重にさらなる変化が見られるかを調べるのです。
体のタイプによる違い
減量が上手くいかずに悩んでいる人は大勢います。ここで理解しておきたいのは私たちの体はタイプごとに異なっておりタイプによっては同じ食事でも体重を減らすことができる人もいれば、逆に体重を増やしてしまう人もいます。
連載の「胚葉型(ソマトタイプ)を知ってダイエットやバルクアップに役立てよう 」にも書いている内胚葉型や外胚葉型、中胚葉型のことです。
1回の食事でLサイズのピザを食べ、そんな食事を定期的にしても体重が増えない外胚葉型と呼ばれる体質の持ち主です。どれだけ食べても太りにくいですが、筋量を増やす場合も大変な苦労を強いられます。
逆にたった3切れのピザでも体重が増えてしまう内胚葉型の人もいます。とにかく少しでもゆだんをすると体重が増えてしまいます。良い点は筋量を増やすのも比較的容易です。
体質にはこの2つの他に中間のタイプ中胚葉型も存在します。このタイプの人は筋量も適度なペースで増やしながら、しかも体脂肪のカロリー燃焼も効率よく行うことができます。
体重増加も体重減少も超人的なスピードでおこなわれるわけではありませんが、多くの人にとって理想のタイプです。
以上のように、私たちの体のタイプは3つに分けることができます。それぞれの大まかな特徴を知れば、確かにタイプごとに食事を工夫しなければ、体重のコントロールは教科書通りには行かないことが解ります。
おまけに、極端な内胚葉型、あるいは明らかに外胚葉型であるというなら話はさほど難しくはありませんが、中胚葉型でやや内胚葉型に近かったり、あるいは外胚葉型の傾向のある中胚葉型であるケースもあるため、常に食事の調整をしながら、減量を進めていく必要がでてきます。
つまりは、教科書どおりのやり方だけでは減量目標をクリアすることは困難なのです。
以上で今回のジョー・クレムチェウスキーさんの記事の解説は終了です。
だらだらと長くなって申し訳ないのですが、ご勘弁を。
まとめ
シェイプされた身体を手に入れるためには次のことが大事です。
- 代謝について理解すること
- 自分の身体のタイプが内胚葉、外胚葉、中胚葉なのか知ること
- グリセミック指数を学ぶこと
- 食品のカロリーも少しだけ学ぶこと
- 短期間で達成しようと決して思わないこと
- 外的要因の運動習慣を身に付けること
- 自分は人とは違うと自覚して貫くこと
バリバリに絞るためには体のタイプを知り、自分の基礎代謝も知り、何より大事なのは焦らず、急がないと言うことなんです。
そして、過度な低炭水化物食は避け、筋量を減らさない為にもチーティングの日を設けること、長く続けることこそが王道の減量になるのではないでしょうか。
次回は食事プランの紹介です。
コメント