ドーピングをして筋量を増やしたい欲望にかられる前に知っておきたいこと
長年ウエイトトレーニングをやっていると節目、節目に大きくならない体に嫌気がさしてドーピングをしてみようかな、という欲望にかられたことがあるトレーニーの方はたぶんおられるでしょう。
僕も40歳代前半のころアメリカで付き合っていた彼女の兄がボディビルダーでアナボリックステロイドを経口投与しているのを目の当たりにし、その巨大な筋肉に憧れ、嫉妬し、一度、やってみようかという誘惑に駆られたことが有りました。
もちろん、否でしたが、その理由は、彼が情緒不安に苛まれ、あげくの果てに拳銃自殺をしたからです。
その時からドーピングは僕にとっての誘惑の甘い媚薬ではなく、一生、大きくならなくても生涯ナチュラルで有りたいとNGワードになりました。
アナボリックステロイドも年々良くなってきているらしいと聞いていますが、趣味でやっているウエイトトレーニングで命はかけれません。
とはいえ、オリンピックのアスリートや大リーガー達がパフォーマンスを上げる為に危険を冒してまで使用するのはやはり名誉とお金が手に入ると言うことに尽きると思われます。
ドーピングがいかに素人が扱うと危険かはWeb等に沢山の記事が有りますので省略してドーピングとはなにかを説明していきたいと思います。
ドーピングとはなにか
ドーピング(doping)の語源は一般論でアフリカの原住民のカフィール族が戦いの前や祭りに飲む強いお酒のdopと言われています。これが後に興奮剤の意味に変わったとされています。
一口にドーピングと言っても色々と種類が有ります。幸いトレーニングマガジンのVol27号に東京大学大学院の比嘉一雄先生の記事が有りますので抜粋して初心者が理解出来るようにまとめてみました。
ドーピングの種類は沢山ある
- 筋肉を増強するもの
- 興奮状態にさせるもの
- 持久力を増強するもの
- 精神を安定させるもの
- 遺伝子を操作するもの
以上5種類も有ります。順に解説していきます。
1.筋肉を増強するもの
テストステロンに代表されるステロイド系ホルモンのドーピングで、アナボリックステロイド(Anabolic Steroid)と呼ばれています。
生体内で作用し、筋肉のタンパク合成を通常のトレーニングでは考えられないくらい増大させます。最も使用されているドーピングで、経口から注射まで多岐にわたります。
そこで皆さんに質問です。
「ステロイドは違法」なのでしょうか?
日本では所持は合法なのです。医者の処方箋があれば手に入るのです。ただし、日本国内の売買は薬事法違反になります。
もちろん、スポーツでドーピング検査にかかるのとは問題が違います。合法か非合法かは国によって違います。調べたので参考までに掲載してみます。
- フランス 医者の処方箋での所持は合法
- ドイツ 医者の処方箋での所持は合法
- オーストラリア 医者の処方箋での所持は合法(難しいですが)
- イギリス 所持、売買、すべて違法
- 韓国 医者の処方箋での所持は合法
- スウェーデン 所持、売買、すべて違法
- アメリカ 所持、売買、すべて違法
このように国によって解釈は違ってきます。もしもお望みなら医者に行って、男性は更年期障害で処方してもらえます。(若い方は無理ですよ!念の為。)
アメリカでは禁止薬なのに、その筋肉同化作用に野球選手やその他スポーツ選手や僕も見ましたがハリウッドを目指す若者達が服用しています。
最初にその副作用については省略と書きましたが、皆さんの中に万が一にも興味を持たれて買われる方がおられても困りますので書いておきます。
アナボリックステロイドの副作用
- 情緒不安定になり、かなり攻撃的になる。
- 剥げる可能性があります。
- 男性は女性化乳房になりやすく、声を高くなる。
- 女性は生理不順や毛深くなります。
- 肝臓が悪くなる恐れが有ります。
- 高脂血漿になる可能性が高いです。
- 肝臓がんや前立腺がんの発生率が上がります。
- 内蔵肥大が起こる。
個人差はありますが副作用の特徴です。僕の前の彼女の兄は上記の2つがまさしく当てはまりました。
アメリカや各国でコンテストビルダーが肝不全とか心不全で若くして亡くなるのは、ひょっとしてアナボリックステロイドのやり過ぎかもしれませんね。
それと、3番目の女性化は皆さんは疑問に思われませんか?テストステロン(男性ホルモン)をブーストしているのにもっと男性化せずに反対方向に向いていますよね。ここが、内分泌(ホルモン)の怖さなんですね!
男性ホルモンが異常に増えるとエストロゲン(女性ホルモン)の分泌も増えるのです。
この様に片一方だけを以上に分泌させたり、取り込むと反作用も起こるのです。
また、テストステロンを大量に取り込むと体はもう入らないと思い、自然なホルモン分泌が止まります。これでは困るので、アナボリックステロイドを摂取し続けなければなりません。その先は、……………………。
続いて他のドーピングについて書いていきます。
2.興奮状態にさせるもの
エフェドリン、シブトラミンなどはダイエット作用のある物質として有名ですが、興奮剤としての作用も有ります。
興奮状態にあると、生理的抑制が小さくなり、傷みに鈍感になったりするので、よりアグレッシブなパフォーマンスが出来るようになります。
プロレスラーや格闘技系の選手の使用が多いです。エフェドリン(麻黄)は漢方薬や風邪薬に含有されていることもあるので競技者は注意が必要です。
3.持久力を増強するもの
体力要素の1つである持久力を向上させるためのドーピングです。
有酸素性代謝に必要な酸素を全身に運ぶ赤血球のヘモグロビンを量を増加させ、酸素運搬能力を高めることが目的です。
自分や他人の血を抜いておいて、試合前にそれを再び輸血して、赤血球数を増やす血液ドーピングやエリスロポエチンという赤血球の産生を促すホルモンをドーピングする方法もあります。
自転車競技やクロスカントリーなどの長距離系アスリートから度々見つかっています。
4.精神を安定させるもの
興奮剤とは逆に精神を安定させる目的で行われるドーピングです。
精神が安定すると、緊張による手の震えなどを抑えることが出来るので、射撃やアーチェリーなどの射撃系の種目で禁止されています。
5.遺伝子を操作するもの
遺伝子を操作することによって、筋力、筋量、持久力を劇的に向上させてしまう手段です。
この写真のように遺伝子操作によって、筋肉の成長を抑制するミオスタチンというタンパク質の発現をブロックすると、筋肉が以上発達し、また脂肪がほとんどない牛が生まれました。
このドーピングの特徴として、遺伝子レベルで操作されているので、尿や血液からは摘出されないということ、また、副作用などが解らないことがあり、現在、その対策に各ドーピング検査団体は奔走しています。
このように一口にドーピングといっても色々とありますがブログのテーマに近い筋肥大を促す筋肉増強剤について詳しく書かせてもらいました。
アナボリックステロイドが筋肉に働くメカニズム
アナボリックステロイドの代表的なものが、強い筋肉の同化作用があるテストステロンに関連するものです。
通常、トレーニングや強い筋収縮によって精巣や副腎からテストステロンが分泌され、筋細胞にあるアンドロゲンの受容体(AR)と結合することにより、タンパク合成の増大が起こります。
トレーニングを行う前の平常時、骨格筋のARは、テストステロンとほぼすべてが結合しています。トレーニングを行うと、骨格筋にあるARが増加します。
増加したARはトレーニングによって分泌されたテストステロンの数が増大するので筋肉は大きくなります。
しかし、トレーニングによって増大するテストステロンよりもARの増大の方が、ある一定のレベルを超えると大きくなります。そうなると、余剰のARは体に作用することなく活性を失ってしまうのです。
この段階で体外からテストステロン様の物質をドーピングすると、余剰ARをすべて身体に作用されることができるので、筋肉のタンパク合成の効率を最大限にすることができるのです。
これにより格段に筋肉の肥大が促進されます。男性の僧帽筋には、このARが多いので、ステロイドユーザーは僧帽筋や肩周辺の筋肉が非常に大きくなるのです。
また、アナボリックステロイドは筋肉の異化作用を抑制するという側面からも、間接的に筋肉の発達を強力にサポートします。
さらに一旦、ドーピングによって筋核を増やすとトレーニングをやめても、ある一定期間は筋核の数は変わらないことが解ってきました。(筋量が増えると筋核も増える。)
つまり、ドーピングをやめて筋量の減少がおきても、筋核は減らないので、トレーニングによって筋量を増やすのは容易になります。
こう書くと、少しの期間だけアナボリックステロイドを摂り、副作用が出ない範囲で中止すれば筋核は増えているのでその後の筋量の増加は簡単になりそうです。
でも、最初に書いたようにテストステロンが体外から以上に入って来ると自然なテストステロンの分泌は止まります。元に戻るのは時間がかかるそうです。だから、繰り返し、投与続けなければならないのでしょう。
いつも、書いている通りウエイトトレーニングは長い勝負です。短絡的な考えは破滅につながります。
しかし、ウエイトトレーニングをやっている我々の目的は筋肥大です。ドーピングはいけませんが自然に内分泌を上げるトレーニング方法や助けるサプリメントがあるのも事実です。
ナチュラル系のハーブや薬草系でテストステロンの分泌を上げるのも一つの方法でもあります。そんなにユックリ待てない方はやはりステですかね?
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