筋肉づくりのカギを握る成長ホルモン
トレーニングをする者にとって成長ホルモンや男性ホルモンという言葉は聞いたことがあると思います。
筋肉を作り、体脂肪を落とし性欲を高めるとともにエネルギーレベルも高め、体内の時計を後戻りさせる働きを持つ。簡単に言えば、成長に関する作用と代謝をコントロールする作用があります。
しかし、実際のところこの重要なホルモンについて知っていることより、知らないことの方が多いと思います。
筋肉の肥大や筋力の増強のトレーニーにとって成長ホルモンをもっと知ってみるのも目的への近道かも知れません。
今回はMUSCLE & FITNESS 2013年3月号にQ&Aで良い記事が有ったので紹介します。
(一部の記事を省略したり加筆しています。)
ヒト成長ホルモンとは何か?
体内では脳下垂体から分泌されるホルモンで、その名が示すように、細胞の成長と再生を担う働きを持ちます。
筋量や骨密度の増加は成長ホルモンなしには不可能だが、このホルモンの重要性はそれだけではありません。脳やその他の生命維持に必須の器官を含め、体のあらゆる組織の健康維持に重要な役割を果たしています。
分泌された成長ホルモンは、血中で2分程度しか活性を持ちません。しかし、それだけの時間があれば、肝臓で種々の成長因子に変換されるには十分なのです。
それらの中でも最も重要なのが、インスリン様成長因子(IGF)-1で、様々な同化作用(筋肉を作る働き)を持ちます。
成長ホルモンは1950年代に死体の脳下垂体から取り出されるようになったが、実験室で初めて合成されたのは1981年です。そしてまもなく、パフォーマンス強化ドラッグとして使用され始めるようになりました。
体内で自然に生成される成長ホルモンの量は?
健康な男性成人の場合は、一般的には血中の成長ホルモン量は1mlあたり5ナノグラム以下とされている。健康な女性の生成量はその2倍程度だが、これは出産に備える為だ。男女ともに、生成量は思春期にピークに達し、20代前半から低下し始める。
成長ホルモンが不足しているかどうかは、どうすればわかる?
病院で検査を受ける。簡単な血液検査により、状態を知ることができる。
(日本でも幼児の低身長症などで病院で血液検査をしていますが、アメリカと違って大人が行くと驚かれるかもしれませんね。)
成長期は過ぎているのなら、なぜ成長ホルモンの分泌を増やす必要があるのか?
成長ホルモンには筋肉を作るという重要な働きがあるが、それ以外にも体内で重要な役割を果たしている。加齢に関する病気の進行を遅らせる、性欲向上、脳の明晰製の維持や心身の健康全般を高める働きを持つことが、研究で示されている。
逆に、成長ホルモンの低下は、全くその反対の状態を引き起こす。筋量消失、体脂肪増加、性欲やエネルギーレベル、心身全般の健康の低下につながることになる。
サプリメントなどで成長ホルモンを増やすことは危険では無いのか?
クレアチンが最初に登場した時のことを思い出してみよう。様々な危険性がメディアで報じられたが、今では最も研究されたサプリメントであり、安全性と有効性を示すデータが続々と登場してきている。
成長ホルモンについても、医学関係の専門家は、メディアで取り上げられる危険性は誇張されていると語る。
アンチエイジングの専門家であるパス•メディカルセンター(ニューヨーク)のエリック•ブレイブマン博士は、次のように話している。
「成長ホルモンを高めるサプリメントの使用による副作用は非常に少ない。体内の水分貯留や血糖値の上昇が起こるヒトもいるが、大量に使用しないかぎり、非常に稀なケースだ。
足や肝臓の肥大といった症状を示すのは、不適切な使い方をして非常に大量に摂るといった場合に見られるもので、極めて稀だ。」
成長ホルモンは何処で入手できるのか?
アメリカでは、医師の処方を通してのみ入手できる。
前述のブレイブマン博士のような専門家がいるアンチエイジングクリニックでは、成長ホルモンが不足しているかどうか診断をくだし、必要であれば処方を行う。
こうした専門クリニックでは、成長ホルモン感受性が低下している場合、IGF-1を処方する場合もある。
しかし、一般的な例ではないが、不法に入手した成長ホルモンを使うのは危険だ。実際にどんなものかも分からないし、体への危険性はいうまでもなく、非常に高価でもある。
日本では美容整形外科の一部が取り入れて、成長ホルモンの注射を個人輸入という手段で購入させ、若返りのための総合的なホルモン療法を行なっているところがあります。内分泌専門の内科医まで雇用して、純然たるビジネスとして行なっています。
入念な血液検査を行ない、各種ホルモンのみならず、ホルモン依存性のがんの腫瘍マーカーも調べて、安全に成長ホルモン療法を行なおうという姿勢はいいのですが、半年の治療で200万円かかります。)
Dr.牧瀬のサプリメントクリニックのブログより引用させて頂きました。かなり詳しく成長ホルモンのサプリや成長ホルモンによるアンチエイジングの危険性等書かれています。
処方箋を使わずに成長ホルモンの体内レベルを高める方法はあるのか?
成長ホルモンのレベルを高めるために役立つ、2つの重要な方法がある。ウエイトトレーニングと、適切な睡眠だ。
最近の研究で、トレーニングを積んだ男性被験者には、ハードなウエイトトレーニングを後に血中の成長ホルモンとIGF-1の明らかな増加が認められた。
これに対して、トレーニングを行っていない男性の場合は、同じハードなワークアウトを行ったが、明らかな増加は見られなかった。
そして、成長ホルモンは睡眠中に分泌される。分泌量が最大となるのが、深い眠りの開始であることが、研究で示されている。したがって、推奨されているように毎晩7〜9時間の睡眠をとることが、成長ホルモンのレベルを高く維持するためのカギとなる。
さらに、3番目のポイントが食事だ。バランスのとれた食事を摂り、後記の「成長ホルモンのレベルを高める物質」であげている食品をできるだけ多く含めるようにすることが重要だ。
また、体脂肪を低く保つことも重要だ。体脂肪が増えると、成長ホルモンのレベル低下に繋がるのだ。
成長ホルモンの体内レベルを高めるために有効なサプリメントは?
マルチビタミンの中には成長ホルモンのレベルを高めるために必要な栄養素が含まれているが、わずかな上昇しか期待できない。
新たな研究では、アルギニンとグルタミンが成長ホルモンのレベルを大幅に上げることが示されているが、ただし、適切な割合で摂った場合のみだ。
これらのアミノ酸を自分で組み合わせて摂ることもできるだろうが、成果が証明されたものを使いたいと言う場合、そうした製品も登場している。その一例が「グロースファクター9(Growth Factor-9)という製品だ。様々な被験者について、体内の成長ホルモンのレベルを平均682%高めたことが示されている。
成長ホルモンのレベルを高める物質
以下に上げるのは、体内の成長ホルモンのレベルを高める作用を持つ、7つのカテゴリーの物質のリストです。
これらの中で、ビタミンAやB5、B12、クロム、亜鉛といったものは、一般的なマルチビタミンのサプリメントにも含まれている場合が多いです。
また、アルギニンやグルタミン、タウリンといったアミノ酸は、ワークアウト前後のサプリメントの成分ともなっています。そしてその他のハーブや植物抽出物質なども、筋肉づくりのサプリメントとしてはなじみがないものの、一般的なサプリメントとして市販されています。
ここにあげた物質はすべて、成長ホルモンの体内レベルを高める効果が、長年の研究で裏付けられているものばかりです。
(本ブログのサプリメント欄で説明の有るものはリンクしております。)
ビタミン
- ビタミンA
- ビタミンB5
- ビタミンB12
- 葉酸
- イノシトールヘキサニコチネート(ナイアシン)
ミネラル
- クロム
- 亜鉛
- マグネシウム
- ヨウ素
アミノ酸
- グルタミン
- グリシン
- カルニチン
- アルギニン
- GABA(γ-アミノ酪酸)
- タウリン
- リジン
- オルニチン
ホルモン
メラトニン
生体機能に重要な役割を持つ物質
- 初乳
- α-GPC
ハーブ、その他の植物
- トリビュラステレストリス
- クリシ
- コレウスフォルスコリ
- グリファニアシンプリシフォリア
- ミルクシスル
アダプトゲン作用を持つハーブ
- 朝鮮人参
- エゾウコギの根
- アシュワンガンダの根
- 五味子
- オウギ根
- ドンカイ
- ヤムイモ抽出物
- カシュウの根の抽出物
- 枸杞(クコ)
- 紅棗(ベニナツメ)
成長ホルモン量を増やす為のまとめ
- 適度にウエイトトレーニングを行う。
- 睡眠時間を7時間から9時間取ること。(取り過ぎは禁物)
- 成長ホルモンのレベルを高める物質を含んだ食事を心がけること。
- 体脂肪を増やしすぎないこと。
- 成長ホルモンのレベルを高めるサプリメントを有効に摂ろう。
このことを心がけて成長ホルモンをインスリン様成長因子(IGF)-1に肝臓で変換させてアンチエイジングしましょう!
この記事も参考にしてください。
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