りんごの栄養価は筋肉作りに役に立つのか?
1日1個のリンゴは医者を遠ざける(An apple a day keeps the doctor away.)
「1日に1個のりんごを食べる習慣をつけると、病気にならず医者はいらない」という意味です。西洋では昔から言われています。
その真実を探ってみましょう!
いきなり古い諺を使いましたが、りんごは食物繊維やビタミンC、ミネラル、カリウムが豊富で、しかも微量ですがタンパク質に必須アミノ酸も含まれ栄養価が高い果実です。
りんごの栄養価
エネルギー | タンパク質 | 資質 | 炭水化物 |
138kcal | 0.51g(2.04kcal) | 0.26g(2.34kcal) | 37.23g(148.92kcal) |
上記はりんご1個(Mサイズ)当たりの可食部のPFCバランスです。
大きさが似たような果物の梨と比較してみました。
エネルギー | タンパク質 | 資質 | 炭水化物 |
110kcal | 0.77g(3.08kcal) | 0.26g(2.34kcal) | 28.82g(115.28kcal) |
この数字だけ見るとりんごも梨もタンパク質は微量過ぎて話になりません。本論はまだですので。
各栄養素としてりんご1個のビタミン含有量はビタミンCが豊富です。梨はビタミンAやビタミンB2が含まれていません。このあたりが前項の「西洋の諺」というのが納得します。
ビタミン名 | りんご含有量 | 接種目安 | 梨含有量 |
ビタミンA | 5.1μg | 221μg | |
ビタミンE | 0.51mg | 2.2mg | 0.26mg |
ビタミンB1 | 0.05mg | 0.32mg | 0.05mg |
ビタミンB2 | 0.03mg | 0.36mg | |
ビタミンB6 | 0.08mg | 0.35mg | 0.05mg |
ナイアシン | 0.26mg | 3.48mg | 0.51mg |
葉酸 | 12.75μg | 80μg | 15.3μg |
パントテン酸 | 0.23mg | 1.5mg | 0.36mg |
ビオチン | 1.53μg | 17μg | 1.28μg |
ビタミンC | 10.2mg | 33mg | 7.65mg |
ミネラル名 | りんご含有量 | 接種目安 | 梨含有量 |
カリウム | 280.5mg | 833mg | 357mg |
カルシウム | 7.65mg | 221mg | 5.1mg |
マグネシウム | 7.65mg | 91.8mg | 12.75mg |
リン | 25.5mg | 381mg | 28.05mg |
銅 | 0.1mg | 0.24mg | 0.15mg |
マンガン | 0.08mg | 1.17mg | 0,1mg |
クロム | 2.55μg | 10μg | |
亜鉛 | 3mg | 0.26mg | |
食物繊維 | 3.83g | 5.7g | 2.3g |
僕は若いころから朝食はシリアルとヨーグルトとプロテインとチーズいう組み合わせでしたが、減量期になると、りんご2切れも付け加えます。
注
60歳を過ぎてからは朝は横着になってしまいプロテインかミールリプレースメントのみです。あまりおなかも空きませんので
実はこれには訳がありまして、りんごの栄養価だけでなく筋量増加のプラス効果(定かではありませんが期待をこめて)や体脂肪減少に加えて満腹感の補助効果を期待しての事です。
私が期待をこめている、その事は下記に示す様なサンパウロ大学とアイオワ大学の面白い実験結果を日頃から愛読のMuscle & Fitness誌 2012/9号で見つけたためです。
どういうことなのかは下記を続けてお読みください。
りんごのウルソル酸の同化作用とタンパク質の消費を抑える作用の実験
りんごの皮に特に多く含まれているワックス様の成分であるウルソル酸は骨格筋細胞に明らかに同化作用をもたらし、筋肉のタンパク質を増やす直接的な作用を持つ事が示されました。
この結果はアイオワ大学から発表された「CELL Metabolism」誌に載った記事と同様の結果を示しました。
このアイオワ大学の研究は、筋萎縮におかされたネズミにウルソル酸を与えたところ、筋肉の変性が停止し、また、健康なネズミにウルソル酸を与えると、筋肉がより強く大きく成長していき、さらにそれだけでなく、ウルソル酸の投与は体脂肪や血糖値、コレステロール、中性脂肪の低下も引き起こしたというものでした。
ウルソル酸はインスリン様成長因子を調節するのか
上記の実験結果から、ウルソル酸の同化作用はインスリン、インスリン様成長因子という、筋肉をつくる2つの重要ホルモンを調節する作用を持つ事によるものと結論しています。
この2つのホルモンはともに筋細胞のレセプターに結びつき、筋肉の成長をうながし、萎縮を阻害するさまざまな連鎖反応を引き起こします。そしてこの過程は、同じレセプターに結びつくウルソル酸によって強化される事になるわけです。
りんごのペクチンの効果
さらに、りんごにはペクチンという水溶性の食物繊維も含まれています。ペクチンには食欲を抑制し、満腹感を高める働きもあります。また、脂肪細胞が吸収する脂肪の量を抑える作用もあります。
この時点では動物実験にすぎませんが、興味深い検証結果です。昔からの言い伝えは現代科学をもってして最近分かった事柄でも何百年前から先人たちは経験から学んでいたのです。
われわれ、筋肥大を目指すものとして身近にある安価な食べ物で効果がありそうなもので、栄養価が高ければ取り入れるべきです。
以上のようにりんごには筋肉増加の補助効果や体脂肪減少や満腹感を高める効果もありそうですし、日頃から体脂肪を気にしなくてはならないトレーニーには簡単に手に入り経済的なりんごを食事のメニューに加えて見てはいかがでしょうか?
古くから言われているように先人達は医学的見地からではなく、体感的にりんごの良さを知っていたのではないでしょうか。
筋肉作りにりんごは役立つか?のまとめ
結論から言ってウルソル酸やペクチンの効果は動物実験だけで確証のデータは無いが、りんごは安価で他の果物より栄養価に優れているので食事にとりいれても良い。
面白いデータを山本義徳さんが2015年に書いておられました。そして2019年2月にも取り上げていました。2015年の韓国での人間による検証結果です。
興味深いので引用させてもらいます。結論から言うとウルソル酸には筋委縮に伴うmRNAの発現を阻害することにより、特に減量期おける筋委縮を防止すると結論しています。
ただ、1日450mgを摂るようにすれば効果が期待できるとあるのでウルソル酸のサプリを調べてみます。現実的に手に入るのかどうか。またその価格等も調査します。少しお待ちください。
ただ、りんご自体は食物繊維も多いので日頃プロテイン三昧のトレーニーには良いかもしれません。